低酸素トレーニングは登山の準備になる?|都内のジムで標高3,400m相当まで30分歩いてみた
2027年4月に夫婦で世界一周旅行に行く「けい」です。
世界一周では、ネパールのアンナプルナ・ベースキャンプ(ABC、4,130m)と、タンザニアのキリマンジャロ(5,895m)に登る予定です。都内に低酸素トレーニングができるジムがあり、10月11日に1人で行ってきました。
低酸素トレーニングは、酸素の割合を下げた空気を吸いながら運動するトレーニングです。この記事では、ジムの仕組みと料金、30分のあいだにSpO2がどう下がったか、トレーナーに聞いた話、体験して思ったことを順に書きます。
※アイキャッチはAIで作成したイメージです(ChatGPTで生成)。実在の人物を意図したものではありません。
ジムの仕組みと料金
都内のジムで、料金は都度利用で1回30分3,300円でした(2026年10月11日時点)。予約はネットでしました。
低酸素の部屋に入るタイプの施設もありますが、ここは専用のマスクをつけて酸素の薄い空気を吸う方式でした。トレーナーの説明では、気圧は下げず、空気に窒素を混ぜて酸素の割合を減らしているとのことでした。設定は標高に換算して選び、6,000m台まで上げられると聞きました。
SpO2(血液中の酸素飽和度)は、トレーナーが指に挟むパルスオキシメーターで測ってくれます。波形は表示されない小さなタイプでした。
当日の流れ
最初に、なぜ来たのかを聞かれました。2027年4月から海外に行き、キリマンジャロに登る予定があると伝えました。山は6,000m近い高さですが、まずは2,500m相当から始めることになりました。
今回はほぼ体験なので、走らずに歩くことにしました。マスクは脇から空気が漏れないようにつけます。気になる人はいるかもしれませんが、私は気になりませんでした。時速6〜7kmを目安にトレッドミルを歩きました。5分ごとにトレーナーがSpO2を測って症状がないかを聞き、問題がなければ標高を上げる、という流れを30分繰り返しました。
30分の記録
| 経過時間 | 設定標高 | SpO2(区間の終わり) | 症状 |
|---|---|---|---|
| 0〜5分 | 2,500m相当 | 94% | なし |
| 5〜10分 | 2,700m相当 | 92% | なし |
| 10〜15分 | 3,000m相当 | 90% | なし |
| 15〜25分 | 3,400m相当 | 88% | なし |
最後の5分は3,400m相当のまま歩いて終了しました。心拍は自分の時計で見ていて、最大で130bpmくらいでした。
※SpO2などの数値は筆者1人の記録です。持病がある人や体調に不安がある人は、医師に相談してから利用してください。
トレーナーに聞いた話
- 本格的にトレーニングするなら、1回45〜60分くらいやったほうがよいそうです。
- トレッドミルには傾斜がつけられません。登山が目的の人は、ジョギングにするか、荷物を背負って負荷をかけることが多いと教えてくれました。
- SpO2は症状にもよりますが、80%台後半まで下がる設定がよいとのことでした。
体験して思ったこと
9月に立山の室堂(2,450m)を荷物を背負って歩いたときは、階段の上り下りもあって、けっこう苦しかったです。今回は同じくらいの標高から始めて3,400m相当まで上げましたが、室堂のときのような苦しさはありませんでした。荷物がなく平らな道だったからなのか、気圧を下げずに酸素だけ薄くしたマスク方式だからなのかは分かりません。
帰ってから、このトレーニングが高所登山の準備として普通のトレーニングより優れているのかを調べました。
- ジムのような短時間の曝露では、順化は進みません。高山病対策の記事で参照したWMS(ウィルダネス医学会)の2024年版ガイドラインは、15〜60分程度の低酸素曝露を「順化の助けになりにくい」、運動を含む短時間・低頻度の曝露を「おそらく効果がない」としています。
- 心肺機能の向上について、普通の空気での同じトレーニングに対する追加効果は確認されていません。2025年のメタ分析(35研究、524人)では、最大酸素摂取量にもパフォーマンスにも差が出ませんでした。効果があるとする分析もあり、結論は割れています。
- 高所での運動能力が普通のトレーニングより上がるかどうかは、研究が少なく分かりません。
調べた範囲では、このトレーニングで普通のトレーニングより高所に強くなれる、と言える根拠は見つかりませんでした。今回の数字は、荷物なしで平らな道を30分歩いたときのものです。山では荷物を背負って何時間も歩き、その高さで寝ます。ABCの行程では、3,230mのデウラリと4,130mのベースキャンプに泊まります。
このジムに通うのは、6,000m相当の空気でどのくらい苦しくなるかを体験する程度に収めることにしました。キリマンジャロの山頂(5,895m)に近い設定です。次に行くときは荷物を背負って、そこまで上げてみます。
まとめ
都内のジムで、マスクをつけて酸素の薄い空気を吸いながら30分歩きました。料金は3,300円です。2,500m相当から3,400m相当まで上げて、SpO2は94%から88%まで下がり、症状は出ませんでした。調べた限り、普通のトレーニングに比べて有利だと言える根拠はありませんでした。通うのは、6,000m相当の空気を体験する程度にします。
参考文献
- Luks AM, Beidleman BA, Freer L, Grissom CK, Keyes LE, McIntosh SE, et al. Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention, Diagnosis, and Treatment of Acute Altitude Illness: 2024 Update. Wilderness & Environmental Medicine. 2024.(要約ページ)
- Dorelli G, et al. Aerobic Intermittent Hypoxic Training Is Not Beneficial for Maximal Oxygen Uptake and Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 2025;35(6):e70088.(本文)
*いずれも英語です。
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