シェンゲン協定と90/180ルール|欧州2回滞在の世界一周日程を公式ツールで検証
世界一周のルートを組んでいて、一番頭を悩ませたルールがシェンゲン協定の「90/180ルール」でした。2027年4月に夫婦で世界一周旅行に行く「けい」です。
私たちのルートは、夏のアルプスと冬のノルウェー(オーロラ)の両方を入れたかったため、欧州に2回入る計画になっています。この記事では、その実際の日程をEU公式の計算ツール(Short-stay calculator)に入力して、ルールに収まっているかを検証した結果をまとめます。検討段階で消えた「1回で回る案」がどう判定されるかも、あわせて載せました。
※アイキャッチはAIで作成したイメージです(ChatGPTで生成)。実在の人物を意図したものではありません。
※制度は更新されることがあります。最新情報は記事末尾の公式リンクで確認してください。
私たちの欧州滞在計画
週割りルートのうち、シェンゲン圏に滞在するのは次の2回です。日付は出発を2027年4月15日と仮定した場合の換算です。
| 滞在 | 週 | 期間(仮定) | 日数 | 滞在国 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目シェンゲン | W11〜W21 | 2027/6/24〜9/8 | 77日 | イタリア(アルプス・ドロミテ)、クロアチア、ギリシャ |
| 非シェンゲン期間 | W22〜W40 | 約19週 | — | トルコ、中央アジア、中東、北アフリカ、南米 |
| 2回目シェンゲン | W41〜W47 | 2028/1/20〜3/8 | 49日 | スペイン、ノルウェー、ポーランド |
1回だけなら77日で問題ありません。問題は2回目です。合計すると126日になるため、「180日で90日まで」のルールに収まるかどうかは、間隔次第になります。
公式計算ツールで検証した結果
EU公式のShort-stay calculatorに、日程を実際に入力して確認しました。
検証1: 夏から晩秋まで1回で回る案 → 55日の超過でアウト

当初は「晩秋でもオーロラを狙えるなら、欧州を1回にまとめられないか」と考えていました。夏のアルプスから入って、11月中旬まで滞在する案です。これを計算ツールに入れると、滞在日数は145日。結果は赤字で「Overstay in the period from 22/09/27 to 15/11/27 (55 days)」。91日目にあたる9月22日から出国日まで、55日間の超過滞在という判定でした。1回で回る案は、この時点で消えました。
検証2: 分割案・2回目の入国日(2028年1月20日)時点 → 最大90日可

次に、滞在を2回に分けた案です。1回目の滞在77日を入力したうえで、2回目の入国日を基準日(Date of entry/Control)にして計算すると、結果は「The stay may be authorised for up to: 90 day(s)」。この日からなら最大90日まで滞在できるという判定でした。
意外に思えますが、理由は窓の動き方にあります。入国日時点では、直近180日の中に1回目の滞在が46日分残っています。ただ、滞在を続けるあいだに1回目の日付が1日ずつ窓の外へ出ていくため、新しく増える分と相殺され、結果として90日まで連続滞在できる計算になります。
検証3: 分割案・2回目の出国日(2028年3月8日)時点 → 残り41日で適合

最後に、2回の滞在をすべて入力して出国日を基準にすると、「直近180日の起点は2027年9月11日」「あと41日滞在可能」という結果になりました。1回目の滞在(9月8日終了)は窓の外に完全に出ているため、カウントされるのは2回目の49日だけ。41日の余裕を残してルールに適合していることが確認できました。
日付が確定したら、航空券を取る前にもう一度この計算をやり直します。1日ずれるだけで判定が変わることがあるからです。
90/180ルールの基本
検証の前提になっているルールを短く整理します。
シェンゲン圏での短期滞在は「あらゆる180日の期間内で最大90日」が基本です。ポイントは3つあります。
- シェンゲン圏は「国ごと」ではなくひとつのエリアとして合算。国を移動しても日数はリセットされない
- 「半年経てばリセット」ではなく、どの時点でも“直近180日”に含まれる滞在日数が90日以内かで判定される
- 一般的に、入国日・出国日も滞在日として数える
日本のパスポートは観光など短期滞在なら原則ビザ免除ですが、免除=無制限に滞在できる、ではありません。
ルートをどう設計したか
設計で意識したのは、「旅行全体の合計を90日以内にする」ことではなく、2回目の滞在中、どの時点で直近180日を見ても90日を超えないようにすることでした。
具体的には、1回目と2回目のあいだに非シェンゲン期間を19週(約4か月半)置いています。これだけ間隔が空くと、2回目の滞在中に1回目の日付が「直近180日」の範囲から外れ始め、検証3のとおり出国日時点では1回目が完全に窓の外に出ます。
ヨーロッパ滞在の日数を守るためにも、予備日の置き方は世界一周の予備日の記事でまとめています。
検証1のとおり、夏のアルプスと秋以降のオーロラを1回の滞在にまとめる案は55日の超過になります。欧州を「夏ブロック」と「冬ブロック」の2回に分けたのは、このルールが理由です。なお、この欧州2回構成は世界一周航空券の「一度出た大陸に戻れない」ルールとも相性が悪く、個別手配を選んだ理由のひとつにもなりました。
出発前に押さえておく制度
最後に、前提となる制度を簡潔にまとめます。
シェンゲン圏は、参加国どうしの国境審査をなくした枠組みで、2026年2月時点で29か国(EU加盟25か国+アイスランド・ノルウェー・スイス・リヒテンシュタインの非EU4か国)です。ブルガリアとルーマニアは完全加盟になりました。一方、アイルランドはシェンゲンに参加せず独自の出入国管理を維持、キプロスは現時点で圏外です。私たちのルートでは、クロアチア・ギリシャ・ノルウェーもすべてシェンゲン圏としてカウントしています。
EES(出入域システム)は、シェンゲン圏の外部国境で入出国をデジタル記録する仕組みで、欧州委員会は2026年4月10日に全参加国で完全運用になったと発表しています。パスポートのスタンプに代わり顔画像・指紋などが登録されるため、90/180ルールの管理はより厳密になります。
ETIAS(欧州渡航情報認証制度)は、ビザ免除国の渡航者に出発前のオンライン申請を求める制度で、2026年第4四半期に運用開始予定と案内されています。私たちの出発(2027年4月)には間に合う見込みなので、出発前の必須手続きとして組み込んでおきます。
まとめ
- 私たちの欧州滞在は77日+49日の2回。公式計算ツールの検証では、41日の余裕を残して90/180ルールに適合
- 夏から晩秋まで1回で回る案は、同じツールで55日の超過判定。分割は「もったいない」のではなく必須だった
- 判定は「直近180日で90日以内か」。滞在を2回に分け、間に十分な非シェンゲン期間を置くのが設計のポイント
- 入国日・出国日も滞在日に数える。日付が確定したら、予約前にもう一度計算ツールで最終確認する
- EESの完全運用で出入国はデジタル管理に。ETIASは出発前の申請が必要になる見込み
外部リンク
Short-stay calculator(短期滞在計算ツール)
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